ニュースの概要
四国地方整備局が設ける四国建設業BCP等審査会が、災害時の復旧を担う建設会社を対象に、事業継続力の認定について2026年度第2回の申請を受け付けている。期間は10月9日から11月25日まで。南海トラフ地震のような大規模災害を想定し、応急活動の拠点を確保できるか、関係機関と情報を共有できるか、人員や資機材を調達できるか、緊急輸送道路・河川堤防・港湾施設を直す体制があるかといった点を、書類と面接で確かめる。対象は四国の建設会社などである。災害のたびに最初に現場へ入るのは地元の建設会社であり、その備えを国の機関が目に見える形で評価する取り組みと言える。
引用元: 南海トラフ地震に備え、四国の建設会社を事業継続力認定へ(KSB瀬戸内海放送)
分析・見解
道路を開ける会社が動けなければ、救助も物資も止まる
大規模地震の直後、救助隊や救援物資が被災地に入るには、まず道路を通れる状態にしなければならない。瓦礫や土砂を取り除いて車を通せるようにする作業を「道路啓開」と呼ぶ。この作業の主役は、行政ではなく地元の建設会社である。重機と操作する人を持ち、現地の地形を知っているからだ。
南海トラフ地震では、揺れと津波が重なり、道路・堤防・港が同時に傷むと想定される。その中で建設会社自身が被災すれば、人も機械も出せない。今回の認定は、この「担い手が倒れる」リスクを事前に点検する仕組みである。
審査項目は、発災直後に最初につまずく点を突いている
審査では、応急活動の拠点、関係機関との情報共有、人員と資機材の調達、緊急輸送道路や堤防、港湾の復旧体制が確認される。どれも発災後の数日間で詰まりやすい点ばかりだ。
たとえば拠点。事務所が浸水区域にあれば、集合すらできない。たとえば調達。燃料が尽きて重機が止まる例は、過去の災害でも繰り返されてきた。2024年の能登半島地震でも、道路の寸断が長引く中で、地元業者の人手と機械の確保が復旧の速さを左右した。面接がある点も大きい。計画の文面よりも、担当者が自社の弱点を自分の言葉で語れるかが見られるからだ。
認定は信頼の目印になるが、小さな会社には重い負担にもなる
認定を受けた会社は、発注者から「災害時に動ける会社」と見てもらいやすくなる。ただし、認定を取れない会社が劣っているとは限らない。小さな会社ほど、書類づくりに割ける人手が足りないのが実情である。制度が負担ばかりを増やせば、備えの厚い会社だけが残り、地域全体の担い手はかえって減りかねない。審査を通すことと、地域の復旧力を底上げすることは、別の目標として意識する必要がある。
本当の課題は、認定後も計画を更新し続けられるか
計画は作った時点から古くなっていく。人は入れ替わり、機械は買い替わり、道路の状況も変わる。認定を取って終わりにせず、訓練で穴を見つけて直す習慣が根づくかが、実際の効き目を決める。
もう一つ見落とせないのは、会社単体では足りないという点だ。ある会社の重機が使えなくても、近隣の会社が補えれば復旧は止まらない。認定を受けた会社同士が資機材や人員を融通し合う関係まで広がれば、四国全体の復旧力は大きく上がるだろう。
ビジネスへの影響
建設会社は、申請の前に自社の止まる点を書き出す
申請するかどうかにかかわらず、拠点の立地、燃料の備蓄量、重機を動かせる人の数、停電時の連絡手段を紙に書き出してみたい。社員の何割が出社できなければ動けないのか、という数字を持つだけでも計画の質は変わる。今回の申請期限は11月25日で、準備に使える時間は限られる。まず審査項目と自社の現状を一覧にし、足りない部分に優先順位をつけるのが現実的である。協力会社や資材業者との連絡方法も、この機会に見直しておきたい。
発注者や取引先は、認定を選ぶ目安の一つとして使える
自治体や元請け、金融機関の担当者にとって、認定の有無は災害時の対応力を測る物差しになる。ただし認定だけで判断せず、訓練の頻度や協力会社との取り決めも合わせて確認したい。平時の契約に災害協定を盛り込む際も、認定は話し合いの入口になる。
建設業以外の企業も、復旧を支える会社と顔をつないでおく
工場、倉庫、店舗を持つ企業は、被災後に建設会社の復旧作業へ頼ることになる。自社の近くで道路を開けられる会社はどこか、事前に連絡先を交換しておくだけで、再開までの時間が変わる。供給の途切れは、遠い産地ではなく足元の道路から始まる。自社のBCP(=事業継続計画)に、地元の復旧業者との連携を一行加えることから始めたい。
